運動方程式と聞いて何がパッと浮かびますか?
\(ma=F\)でしょうか??
それと、
- 質量が大きいと加速しにくくなる
- 力が小さいと加速しにくくなる
でいいでしょうか?
そのうち二つの
- 質量が大きいと加速しにくくなる
- 力が小さいと加速しにくくなる
は運動方程式から読み取れることなのですが、
そもそも
\(ma=F\)という理解の仕方は間違っています。
これには、
なんで?と思う人も多いでしょう。
運動方程式は正確には
$$m\vec{a}=\vec{F}$$
です。ここからわかるように加速度と力はベクトル量なんです。
つまり、物体は加えた力の方向に加速するという事です。
この記事では運動方程式がベクトル量であることを用いて、普段運動方程式を立てるときにxとy成分でに分ける理由を示していこうと思います。
ベクトル量\(\vec{A}=\vec{B}\)とは、\(\vec{A}\)と\(\vec{B}\)が「大きさが等しく、さらにその向きが等しい」という事を言っています。だから異なる向きのベクトルが等しくなることはまずありません。(当たり前ですね。)
これを踏まえて運動方程式について考えましょう。
まず物体に力\(\vec{F}\)を加えます。そうすると物体はその力\(\vec{F}\)の向きに加速度\(\displaystyle\frac{\vec{F}}{m}\)で進みます。
次に複数の力\(\vec{F_{1}}\)、\(\vec{F_{2}}\)、\(\vec{F_{3}}\)を加えるとどうなるでしょうか?
まず最初にするべきは、3つの力を足します。
$$\vec{F}=\vec{F_{1}}+\vec{F_{2}}+\vec{F_{3}}$$
とします。この\(\vec{F}\)を図で表してみます。まず、それぞれの力の作用線を描きます(1)。そして、それぞれの力を作用線上に動かしてベクトルの始点を合わせます(2)。そして、ベクトルの和を図に示します(3)。
力\(\vec{F}\)を図示出来たら運動方程式を立てましょう。
$$m\vec{a}=\vec{F_{1}}+\vec{F_{2}}+\vec{F_{3}}=\vec{F}$$
つまり、物体は\(\vec{F}\)の向きに加速するという事になります。
ここで注目すべきは物体は力\(\vec{F_{1}}\)、\(\vec{F_{2}}\)、\(\vec{F_{3}}\)の向きに加速するのではなく、その合力の向きに加速します。
それでは例を考えてみましょう。
図のように物体に軽いひもがつけられて、水平から角度\(\theta\)の方向に張力\(T\)で引っ張られている。この時に物体が水平方向に動く時の合力の向きを考えましょう。ただし、物体はなめらかな面上を滑るとします。
この時に運動方程式を立てると、
$$m\vec{a}=\vec{T}+m\vec{g}+\vec{N}$$
になります。ここで、ベクトルの概念を考えます。
$$\begin{eqnarray*}& &\vec{T}=(T\cos\theta,T\sin\theta)\\\\& &\vec{a}=(a,0)\\\\& &\vec{N}=(0,N)\\\\& &g=(0,-g)\end{eqnarray*}$$
とすると、
$$m(a,0)=(T\cos\theta,T\sin\theta)+m(0,-g)+(0,N)$$
となるので、結果的にxとy成分で考えることが出来ます。
$$\begin{eqnarray*}& &x \ : \ ma=T\sin\theta\\\\& &y \ : \ 0=T\sin-mg+N\end{eqnarray*}$$
以上から運動方程式をx、y成分に分けて考えることは運動方程式が
$$m\vec{a}=\vec{F}$$
だからということになります。
というわけで、運動方程式は単に\(ma=F\)で理解するのではなく、ベクトル量として理解するようにしましょう。
このまとめを見て、記事の内容を説明できるまで反復しましょう。
運動方程式
$$m\vec{a}=\vec{F}$$
- 物体は力を加えた向きに加速する
- 質量が大きいと加速しにくくなる
- 力が小さいと加速しにくくなる
それでは。
目次
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